
あっ! まだメインの場所じゃないですよ! まだ行くからね!
ほぼ終わり気味だったテンションの2人にムチを打ち、竜矢は先だって進みます。
巨大な岩の隙間に道がありました。

細い道の先に光が見えます。
外に出てしまうのかな。ここからまた歩くのかな…しんどいな。
そんな思いが頭をよぎります。

しかし細い道を抜けると。。。
そこには異世界が広がっていました。

天に向かって伸びていくかのごとくそびえる岩の壁。
天井の中央には巨大な穴があいていました。
その穴から外の光が差し込んでいます。
目線を下げると、広大なエリアの中央には黄金の宮殿が鎮座しています。
息を呑むほどの素晴らしさ…3人は歩を進めます。
まだ朝なので天井から差し込む光はそんなに強くはありませんが、
それでも雰囲気は充分すぎるほど。
竜矢は、この場所は何かに似ていると思いました。
何かははっきり言えないけれど
中に入ったものの魂をさらけ出させ、審判を受けさせる場所。
そういう場所がなんというものなのかは知りません。
ただ、自分が痛いくらいに中二病だということだけは、なんとなくわかります。

とりあえず、真っ黒な魂をさらけ出したとくムーさんをパチリ。
顔の表情も見えないほどの闇で真っ黒やで。
前世でなにしてたんやろこのおっさんは。。。
と思いましたがそれも心のうちにしまっておきます。
気がつくと、また、つしまんがいません。

つしまくん、どこやろ?
自分の前世が何をしていたのか露ほども知らず
赤ん坊のような無垢な顔で探しに行きます。

あっ! あんなところにおる!
つしまんは、また赤いポッチでした。
本当によく動き回る子です。高いところも好き。
つしまんの前世は孫悟空でしょうか、おそらく。
竜矢も行くことにしました。
サル山(つしまんのこと)の土は結構もろく、何度も滑り落ちそうになります。
サンダルなので足に小石が入って痛い。

つしまんのいる小山へ行ってみると、さらに上に岩がつき出した場所がありました。
遠吠えするのに良さそうだ。
竜矢は遠吠えをするため、岩の上に上がりました。
…周りの壁の岩肌がすべて顔のように見えます。
竜矢の中二っぷりは筋金入りですよ。
もう戻れません。

光が来たよ!!
つしまんの呼ぶ声で我に返った竜矢は、下へ降りることにしました。

宮殿のそばが明るくなり、光の筋が降りていました。
綺麗だなあ。。。
天国みたいやな。
つしまんの隣に行くと、彼が尋ねます。

あの宮殿さあ。あそこにいるのって神様かな?

たぶん王様だと思うけど。。。何で?

なんかさ、あの宮殿を守るために外から力が加わってるように思えたんだよね。さっき竜矢がいた場所がその入り口の一つっていうか。
おぉ。。
やばいこいつ。。。
いたく感動した竜矢は

そうかもね!!
と目に涙をためて頷きました。
竜矢は光を受けた宮殿を上から見るため、もういちど山に登りました。
振り向くと、とくムーさんがよちよち登ってきます。
つしまんは

光の最前線に行ってくる!
とどこかへ走っていきました。

ハァハァ あのう、あのここタバコ吸ったらダメですかね?
なぜこの澄み切った空気の中でタバコを吸いたいと思うのか。
とくムーさんいわく

こういう所でスパーっとするのがまたね、いいんですよ!
とドヤ顔。
肺まで真っ黒になってしまえばいい。。。
竜矢は座って
さっきとくムーさんに貰ったチュッパチャップスを舐めることにしました。
とくムーさんも隣に座ります。
周りを見ると、ひとつもゴミが落ちていないことに気が付きました。

とくムーさん ここゴミがひとつも落ちてないですね。

あっ ゴミ捨てようとしたでしょう! いけませんよ。
満面の笑みで、とくムーさんは指摘します。
曖昧な笑顔で答える竜矢。
下を覗くと、ミニつしまんが見えます。
どうやら観光客に写真を撮ってくれと頼まれているもよう。

あ 撮り直しさせられてる…
ミニつしまんは何度か撮り直しをさせられたあと、
宮殿の周りを走り回っていました。


なんであんなに元気なんやろ。。。
とくムーさんが呟きます。
あらためて、光を受けた宮殿を間近で見るべく、下へ降ります。
正面から見る宮殿は
三角の形をした光線が降り注ぎ、その場にはエネルギーが充満しています。
白く、または青く発光する光が神聖さをこれでもかと見せつけ
我々に畏怖の念を抱かせました。


とても名残り惜しいのですが
もうそろそろ帰らないとやばい時間になってきたので
みんなでお願い事をして帰ることにしました。

ダイエット成功しますように

パスポートが見つかりますように

超能力が身に付きますように
…
帰りの道で…
体が、軽い気がする!
。。。でもやっぱり気のせいだった竜矢。
サルをもう一回見たい!!ぜったい!
。。。でももう1匹も見られなかったつしまん。
若いモンには負けへんで!!
。。。自分の体重に負けたとくムーさん
みんな大事なお友達です!
どうもありがとうございました。
おしまい。
